首都圏在住の私が、飯田の実家を売るまで----全ステップ完全ガイド
「結局、何をどの順番でやればいいんですか?」
このシリーズを通じて、相続不動産にはさまざまな論点があることをお伝えしてきました。 共有名義、農地、築古アパート、空き家----それぞれに固有の難しさがあります。
でも最終的に多くの方が直面するのは、シンプルな一つの問いです。 「で、実際どうやって売ればいいの?」
今回は、首都圏在住の方が飯田下伊那の実家を売るまでの流れを、ステップごとに整理します。 「動き出すための地図」として使っていただければと思います。
全体の流れを俯瞰する
売却までの大きな流れは、こうなります。
現状把握 → 相続手続き → 不動産会社への相談 → 査定・媒介契約 → 売却活動 → 売買契約 → 引き渡し
一つひとつ、見ていきます。
STEP 1:不動産の現状を把握する
まず「何を持っているか」を正確に知ることから始まります。
確認するものは三つです。
登記簿謄本で、名義・面積・地目・抵当権の有無を確認します。 法務局またはオンライン(登記ねっと)で取得できます。
固定資産税の納税通知書で、課税されている不動産をすべて洗い出します。 知らなかった土地・建物が出てくることがあります。
実際の現地確認で、建物の状態・境界の状況・隣地との関係を確認します。 遠方在住の場合、帰省のタイミングで一度しっかり見ておくことをおすすめします。
この段階で「思っていたより複雑だ」と感じたら、早めに専門家に相談するサインです。
STEP 2:相続登記を済ませる
親名義の不動産を売却するには、まず相続登記が必要です。 自分名義に変えてからでないと、売ることができません。
2024年4月から、相続登記が義務化されました。 相続を知った日から3年以内に登記しないと、過料の対象になります。
相続登記は司法書士に依頼するのが一般的です。 費用は物件の数・複雑さによって異なりますが、数万円〜十数万円が目安です。
遺産分割協議書の作成も必要になります。 相続人全員が合意した内容を書面にまとめ、全員が署名・押印します。 相続人が多い・遠方にいる・仲が複雑----という場合は、弁護士や司法書士のサポートを借りることをおすすめします。
STEP 3:不動産会社に相談・査定を依頼する
相続登記が完了したら(あるいは並行して)、不動産会社への相談に進みます。
査定とは、「この不動産がいくらで売れそうか」を不動産会社が調査・提示することです。 査定自体は無料で行われます。
ここで大切なのが、地域の実態を知っている会社に依頼することです。
大手ポータルサイトで査定を依頼すると、地域実態を知らない会社から机上の数字が届くことがあります。 飯田下伊那の土地は、首都圏の感覚とは相場がまったく異なります。 現地を知らない会社の査定額は、現実とかけ離れていることが少なくありません。
わたしたちディ不動産は、飯田下伊那の相場を日々肌で感じています。 「高すぎず、低すぎず」の現実的な数字をお伝えします。
STEP 4:媒介契約を結ぶ
売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。
媒介契約には三種類あります。
一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に依頼できます。 広く買い手を探したい場合に有効ですが、会社側の動き方が緩くなることもあります。
専任媒介契約は、一社に絞って依頼する形です。 不動産会社は2週間に1回以上の活動報告義務を負います。
専属専任媒介契約は、専任媒介よりさらに拘束力が強く、1週間に1回以上の報告義務があります。
遠方在住で「任せっきりにしたい」という場合は、専任または専属専任が安心です。 窓口が一本化されるので、やりとりがスムーズになります。
STEP 5:売却活動
媒介契約後、不動産会社が売却活動を開始します。
具体的には、不動産情報サイトへの掲載・チラシ配布・他の不動産会社への情報共有(レインズ登録)などが行われます。
首都圏在住の場合、内覧対応をどうするかが一つの課題です。 買い手が現地を見たいというとき、売り主が毎回飯田まで来ることは難しい。
鍵の管理を不動産会社に委託する、信頼できる地元の親族に協力を頼む----といった対応を、事前に決めておくとスムーズです。
また、建物が古い場合は「インスペクション(建物状況調査)」を実施しておくと、買い手の安心感につながり、成約しやすくなります。
STEP 6:売買契約
買い手が見つかり、価格・条件の交渉がまとまったら、売買契約を締結します。
契約時に買い手から手付金を受け取ります。 一般的に売買価格の5〜10%程度です。
ここで重要なのが、物件の告知義務です。 雨漏りの履歴・シロアリ被害・近隣トラブルなど、売り主が知っていることは正直に告知しなければなりません。 告知漏れは後日トラブルの原因になります。 「古い家だから不具合があって当然」と思わず、知っていることはすべて伝えることが鉄則です。
遠方在住の場合、契約書への署名・押印は郵送でも対応できます。 最近はオンライン契約(電子署名)に対応する不動産会社も増えています。
STEP 7:決済・引き渡し
売買契約から通常1〜2ヶ月後に、決済・引き渡しが行われます。
買い手から残代金が振り込まれ、鍵・各種書類を引き渡します。 同日、司法書士が所有権移転登記を申請します。
引き渡し前に、建物内の家財・荷物をすべて撤去しておく必要があります。 「実家の片付け」は、売却プロセスの中で最も時間と労力がかかる作業のひとつです。 遠方在住の場合は、遺品整理業者の利用も選択肢に入れておくとよいでしょう。
費用と税金の話
売却で手元にいくら残るかを考えるとき、費用と税金の把握は欠かせません。
かかる費用の主なもの
仲介手数料(売買価格の3%+6万円+消費税が上限)、登記費用、印紙税、解体費用(建物を解体する場合)、遺品整理費用などです。
かかる可能性のある税金
相続した不動産を売却すると、譲渡所得税がかかる場合があります。 ただし、相続した空き家の売却には「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」が使えるケースがあります。 適用要件があるので、税理士への確認をおすすめします。
「売れた金額がそのまま手に入る」わけではないことを、最初から理解しておくことが大切です。
「時間」が最大のコスト
このシリーズ全6回を通じて、繰り返しお伝えしてきたことがあります。
早めに動くほど、選択肢が多く残る。
共有者が増える前に。認知症が進む前に。建物がさらに傷む前に。固定資産税がかさむ前に。
「いつか考えよう」の「いつか」は、静かにコストを積み上げながらやってきます。
親が元気なうちに話し合いができること、相続人全員が動ける状態にあること----これが、最大のアドバンテージです。
ディ不動産だからできること
このシリーズで描いてきた悩みのほとんどが、「飯田下伊那に不動産があり、相続人は首都圏にいる」という構図から生まれています。
地元の不動産屋に頼むと、首都圏の相続人とのやりとりに難がある。 首都圏の不動産屋に頼むと、飯田の実態を知らない。
わたしたちディ不動産は、その両方に拠点を持ちます。 飯田下伊那の土地・建物・市場の実態を知りながら、首都圏在住のご家族ともオンラインでスムーズに連携できる。
この二地域間の橋渡しこそが、わたしたちの最も大切な役割だと思っています。
「何から手をつければいいかわからない」 「売れるかどうかすらわからない」 「兄弟と意見が合っていない」
どんな段階でも、まずご連絡ください。 一緒に、整理していきます。