ハワイの医療費問題と、賢い備え方

ハワイ移住を検討する方が、最後まで頭から離れない問題があります。
医療費です。
「ハワイでの暮らしに憧れている。でも、病気になったらどうするんだろう」----この不安を抱えたまま、踏み出せずにいる方がたくさんいます。
その不安は、正しい認識から来ています。ハワイの医療費は、日本と比べて桁が違うほど高い。これは事実です。
ただ、「高いから無理」と諦める前に、知っておくべきことがあります。備え方を正しく理解すれば、医療費の問題はコントロール可能なリスクに変わります。今回は、ハワイの医療費の実態と、賢い備え方を整理します。
医療費の問題を、正面から話す理由
ハワイ移住を勧める情報の多くは、医療費の問題を小さく扱うか、「保険に入れば大丈夫」と簡単にまとめてしまいます。
でも、わたしたちはそう思いません。
医療費の問題は、ハワイ移住を考えるうえで最も重要なリスクのひとつです。特に、年齢を重ねてからの移住、持病がある方、長期滞在を考えている方にとっては、移住の実現可能性そのものに関わる問題になることがあります。
正面から理解したうえで、「それでも行く」か「別の形を選ぶ」かを判断する。その判断材料を提供することが、わたしたちの役割だと考えています。
ハワイの医療費は、なぜ高いのか
日本では、国民皆保険制度のもと、誰もが一定の自己負担(原則3割)で医療を受けることができます。高額療養費制度もあり、月々の自己負担には上限が設けられています。
米国には、このような全国民を対象とした公的医療保険制度がありません。
65歳以上の高齢者や障害者向けのメディケア、低所得者向けのメディケイドという公的制度はありますが、外国人移住者がこれらの恩恵を受けるのは、条件が厳しく現実的ではありません。
医療費が高い背景には、医師・看護師の人件費の高さ、医療機器・薬剤のコスト、そして医療訴訟リスクに備えた保険コストの転嫁など、複合的な要因があります。さらにハワイは島という地理的条件から、物価全体が米国本土より高く、医療費もその影響を受けます。
「日本と同じ感覚で医療を受けようとすると、請求額を見て卒倒する」----これは冗談ではなく、実際にハワイで生活した方々から聞く言葉です。

具体的にいくらかかるのか
実感を持っていただくために、具体的な金額の目安を整理します。あくまでも参考値ですが、日本との差を知ることが重要です。
外来受診
一般的なクリニックへの外来受診で、200〜400ドル程度が目安です。専門医への受診になると、さらに高くなります。日本で数百円〜数千円の自己負担で受けられる診察が、ハワイでは数万円単位になることがあります。
救急外来
救急外来への受診は、軽症でも1,000〜3,000ドル以上になることが珍しくありません。入院を伴う場合は、一日あたり数千ドル〜1万ドルを超えるケースもあります。
手術・入院
盲腸の手術で3〜5万ドル、心臓手術では数十万ドルに達することもあります。長期入院が必要な大きな病気・怪我は、保険なしでは破産レベルの医療費が発生するリスクがあります。
処方薬
日本では数百円で手に入る薬が、ハワイでは数十ドルから数百ドルになることがあります。慢性疾患で継続的に薬が必要な方は、薬代だけで月に相当な出費になる可能性があります。
民間医療保険----選び方と注意点
ハワイで生活するうえで、民間医療保険への加入は実質的に必須です。ただし、保険の選び方を誤ると、「保険に入っていたのに、思ったより補償されなかった」という事態になりかねません。
保険の種類
- 旅行保険----短期滞在(数週間〜数ヶ月)向け。長期滞在・移住には対応していないことが多い
- 海外長期滞在者向け保険----1年以上の長期滞在を想定した保険。日本の保険会社・国際保険会社が提供している
- 米国の民間健康保険----米国内での受診をカバーする保険。就労ビザを持つ場合は雇用主が提供するケースもある
保険を選ぶときに確認すべき点
- 免責金額(デダクティブル)----自己負担となる金額の上限。免責金額が高いほど保険料は安くなるが、実際に使えるまでの自己負担が増える
- 自己負担割合(コインシュランス)----保険が適用された後も、一定割合を自己負担するケースがある
- 自己負担上限(アウトオブポケットマックス)----年間の自己負担額の上限。この数字が高すぎると、大病のときに保険の恩恵が限られる
- 既往症(プリエグジスティングコンディション)の扱い----持病がある場合、保険加入時に既往症が除外されるケースがある。慢性疾患を持つ方は特に注意が必要
- ネットワーク内の医療機関----保険が適用される医療機関が限定されている場合がある。希望する病院・医師が対象かどうかを確認する
- 日本への帰国時の扱い----日本で受診した場合の補償があるかどうか
保険料の目安
年齢・健康状態・補償内容によって大きく異なりますが、40代の健康な成人で月額300〜600ドル程度、50代以上になると月額500〜1,000ドル以上になることも珍しくありません。年間で数十万円〜百万円を超える保険料を、生活コストとして織り込んでおく必要があります。
日本の医療保険・国民健康保険との関係
ハワイに移住した場合、日本の国民健康保険はどうなるのか----これも重要な確認ポイントです。
住民票を抜く場合
日本の住民票を抜いてハワイに移住すると、日本の国民健康保険の資格を失います。日本に一時帰国した際の医療費は、全額自己負担になります。
住民票を残す場合
住民票を残したまま長期滞在する場合、国民健康保険料の支払い義務が続きます。日本での受診時は保険が使えますが、実態が日本に居住していないにもかかわらず住民票を残すことには、法的・税務的な問題が生じる可能性があります。
会社員の場合(社会保険)
日本の会社に在籍しながらテレワークでハワイに滞在する場合、社会保険の資格を維持できるケースがあります。この場合、日本への一時帰国時には健康保険が使えます。ただし、長期にわたる海外滞在については、会社の規定と社会保険の扱いを事前に確認することが必要です。
住民票・社会保険・健康保険の扱いは、移住のスタイルによって大きく異なります。税理士・社会保険労務士への相談をおすすめします。
「いざとなれば日本に帰る」を現実的に設計する
ハワイの医療費問題に対する最も現実的な備えのひとつが、「大きな病気・怪我のときは日本に帰って治療を受ける」という選択肢を持っておくことです。
日本とハワイの飛行時間は約9時間。緊急性が高くない病気・手術であれば、日本に帰って治療を受けることは十分に現実的です。日本の医療の質は世界トップクラスで、費用も比べものにならないほど低い。
この選択肢を現実的に保つために、次の点を設計しておく必要があります。
日本に帰れる体制を維持する
- 日本の拠点(住まい)を残しておく、あるいは帰国時に身を寄せられる場所を確保する
- 日本の医療機関・かかりつけ医との関係を維持する
- 必要に応じて、帰国費用をカバーする保険(緊急帰国費用補償)に加入する
日本の住民票と健康保険の扱いを整理する
前章でも触れたように、日本に帰って医療を受けるためには、日本の健康保険が使える状態にあるかどうかが重要です。移住のスタイルに応じて、住民票と保険の扱いを事前に専門家と整理しておくことをおすすめします。
長野(飯田下伊那)の拠点が果たす役割
わたしたちがご提案している長野×ハワイの二拠点生活において、長野の拠点は単なる「コストを抑えるための場所」ではありません。いざというときに戻れる日本の拠点として、医療面での安心感を担保する重要な役割を持っています。長野には地域の医療機関が整っており、日本の医療保険のもとで治療を受けられる環境があります。

年齢別に考える、医療費リスクの重さ
医療費リスクは、年齢によってその重さが大きく変わります。自分の状況に照らして考えてみてください。
30〜40代
健康であれば、医療費リスクは相対的に低い時期です。民間保険でカバーしながら、大きな出費が発生した場合の備えを持っておく程度で、ハワイ移住のハードルとして医療費が決定的な壁になることは少ない。ただし、子どもを連れての移住の場合、子どもの医療費も考慮が必要です。
50代
生活習慣病・がん・心臓疾患などのリスクが高まる時期です。保険料も上昇し、既往症がある場合は保険加入そのものが難しくなることがあります。この時期にハワイ移住を考えている方は、医療費の問題を特に慎重に検討する必要があります。
60代以上
医療費リスクが最も高まる時期です。米国の民間保険料は60代以降に急上昇し、月額1,000ドルを超えることも珍しくありません。「老後はハワイで」という夢を実現したい場合、医療費の設計が移住の実現可能性を左右します。「ハワイで暮らす時間」と「日本で医療を受ける体制」を組み合わせた現実的な設計が必要です。
医療費問題を踏まえた、賢い移住スタイル
医療費の問題を正直に受け止めたうえで、それでも「ハワイで暮らしたい」という気持ちがあるなら、移住のスタイルを賢く設計することで、リスクをコントロールできます。
期間を決めた移住からスタートする
永住を前提にせず、まず数年間という期間を決めて移住してみる。この形であれば、医療費の問題が現実的に感じられたときに、日本に戻るという選択肢を保てます。
日本の拠点を手放さない
日本の住まいを残し、定期的に帰国しながらハワイに滞在するスタイルは、医療費リスクへの最も現実的な対策のひとつです。大きな病気・手術は日本で受け、ハワイでは健康な日常を楽しむという分担が成立します。
健康なうちに動く
保険の加入が容易で、保険料が低く抑えられる若い・健康な段階のうちに移住の準備を進めることが、医療費問題への最大の備えになります。「もう少し落ち着いてから」と先送りするほど、医療費リスクは高まります。
緊急帰国費用の保険に加入する
現地での治療費をカバーする保険に加えて、緊急時に日本に帰国するための費用をカバーする保険(医療搬送・緊急帰国費用補償)にも加入しておくと、安心感が大きく違います。
資金の余裕を持って移住する
保険でカバーされない自己負担分、免責金額、突発的な医療費に備えた「医療費準備金」を別途確保しておくことも重要です。一般的には、最低でも数百万円単位の流動資産を確保しておくことが推奨されます。

D-Realtorに相談できること
「医療費の問題が心配で、ハワイ移住に踏み出せずにいる」
「保険や帰国の設計を含めた、現実的な移住プランを一緒に考えたい」
「長野とハワイの二拠点スタイルで、医療費リスクをどう管理するか整理したい」
どの段階でも、ご相談いただけます。
D-Realtorは、ハワイの不動産事情に精通した専門スタッフが対応します。不動産購入のサポートにとどまらず、移住に伴う医療費・保険・税務・ビザの専門家とのネットワークを持ち、ハワイ移住全体の設計をサポートします。
「ハワイの夢」を「現実的な計画」に変えるお手伝いを、一緒にさせてください。オンラインでのご相談も可能です。まずはお気軽にご連絡ください。